浜武レポート07/01/01●筑紫野市市長選挙の争点
ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終焉。地球上の全ての地域が市場経済化して間もなく20年が経とうとしている。
地球上のGDPは当時のほぼ1.5倍に。東欧圏のEU化=ユーロ経済圏の構築→自国通
貨すら放棄。
中国、ブラジル、インドの台頭。 特にお隣の中国の改革はすさましい。
社会主義国家にもかかわらず、田舎と都会の生活格差は100倍。当局が把握出来るだけでも2800万人の失業者。
日本の組合とは比較にならない労働者組織を持つ中国でも、これだけのリストラを断行する。
世界中が過去を捨て生産性を競う。立ち止まってはつぶれてしまう。 地球上はリストラ(再構築)している最中である。
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失われた十年。世界経済の激動期の日本はバブル崩壊のまっただ中にあった。
経営体質が酷い銀行やスーパーの経営者達を追放し、人員整理を断行。
その「痛みを伴う改革」の結果、ここ数年、日本経済は持ち直して来たと云われている。
しかし、持ち直したのは民間だけで、市民生活の根幹に関わりを持つ、市町村は未だ放漫経営にメスを入れず、放置している事が白日にさらされた。
職員のボーナスは半額。給与は四割カット。ワイドショーで有名になった北海道夕張市。
市民税、固定資産税、保育料の値上げ。下水道使用料の倍増。ゴミ収集料の有料化。図書館、公衆トイレの廃止等、市民生活細部までの負担増。小中学校は各一校に統廃合される(下記参照)。
無策のつけは余りにも大きい。
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筑紫野市はどうだろうか?
「夕張市には敵わないけど、危機状況はさして変わらない」と公言した奄美市の借金残高は500億円。その残高より上を行くのが筑紫野市である。
「浜武さん。こんなに借金がある事は知りませんでしたよ」市管理職の偽らざる本音だった。
ただ、自課の事業の進捗状況だけ気にし、収益まで気にかけない体質にどっぷり浸かっていたのである。
戦争に行った世代の方から「浜武さん、自分のお金は大切に使うけど。人のお金はそうはいかないよ」との教えを思い出す。
夕張と筑紫野は違うと云うが人口増を当てにし、箱物を建てすぎた。想定人口15万人はおろか、10万人も越えていない。
天神、百道浜、マリナタウン周辺のマンション価格の値ごろ感で、凋落に拍車をかける。
口実がない分、夕張より深刻なのである。
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今、首都圏に点在するミニ市の首長選挙の最大の争点は「民営化、民間委託」で役所をリストラし、「少ない税金で、大きなサービス」を提供する政策=マニフェストを候補者は競う。
しかしながら、公務員は飲酒運転をしても懲戒解雇にはならない程、身分が守られていて、民間のようにいかない。
下記の表を見て頂きたい。
筑紫野市の職員定数はほぼ500名。ところが30年前、町から市に昇格した際、大量採用した職員の定年退職を一斉に迎える。
その数100名以上。
今筑紫野市は職員定数、即ち役所の仕組みを改革する千載一隅の機会を迎えている。
人が減ればサービスは落ちる。と云う人(議員・組織)もいるが、これは仕組み(トップ)を変えれば克服可能だ。
筑紫野市は役所の仕事の一部を人材派遣業者(筑紫野は数社独占)に丸なげしている。
これらも埼玉県志木市の様に直接採用で市民参加型の公募制を進め、仕組みをかえる事で同じ予算で採用数を増やせる。
臨時、公募、業者委託で派遣された職員でも充分市民サービスを提供できる保育所、調理場、簡易な窓口業務等は正職員である必要はない。それどころか正職員でなくなれば時間延長は容易となり、5時で閉まる事はない。
また、年報700万円を越える正職員に複数の職制を持たせれば「自分の担当ではない」と忙しい窓口を眺めるだけの職員は減る。
役所は人海戦術のサービス産業。同じ予算でも仕組み(トップ)次第で便益は拡大する。
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世界の国々も覇権争いを繰り広げ、会社も企業買収で体質強化を計っている。
日本の町村も最近合併等やっと変革が進み出した。
「借金のある人に娘を嫁がせたくない」。市町村も全く同じだろう。
筑紫野市も、のち半世紀に亘る郷土の発展を左右する重大な分岐点を迎えているのである。
資料一●平原市政の職員採用実数
16年度 18名
(15年09月試験実施16名採用)
(16年02月試験実施 2名採用)
17年度 0名
18年度 18名
19年度 11名 見込み
筑紫野市の正職員定数 497名
うち平成21、22、23年に総計 100名前後の定年退職を迎える
注※16年2月の異例採用を議場で追及「(財政上の危機より)来年度の採用は0」と市長答弁。しかし、私が辞職後は例年の水準に逆戻り?
資料二●
筑紫野市
人口・約98,000人
借金残高・約700億円
職員数・497名
中学校・5校
小学校・11校
夕張市
人口 ・約13,000人
※ 夕張市はかつて筑紫野市より 多い11,7000人の人口を誇る
借金残高・ 約630億円
職員数 ・309名
中学校 ・4校
小学校・ 7校
※ 夕張市の小学校・中学校は 財政難で各1校に統廃合される