●日本経済新聞社取材分回答


雇用対策を打ち出しているようですが、詳しくお聞かせください
【日本経済新聞、他●2005/3月第2週】


終身雇用制の崩壊後、短期雇用契約者がローンを継続的に組めるか、もしくは引き続き支払いが可能かと云う議論を金融関係者とディスカッションを出馬記者会見以降、繰り返し行ってまいりました。結論として現在の政権は無策に近いと断定するに至りました。
銀行各位は「短期契約労働者には積極的融資を考えていない」事実に基づく状勢分析からの見解です。 アメリカは短期雇用、短期失業社会ですが、ご存じのように「レイオフ(経営者側が組合の意向を無視して一方的に解雇できる)」による失業者を優先的に再雇用するルール作りが確立されています。
よって、失業しても個人資産の維持継続は可能な社会です(そのかわり失業統計調査の数値目標=成果 主義に振り回され拡大再生産=覇権国家であり続けなければならない)。
一方ドイツでは長期雇用、長期失業ですが、組合の発言力、また間接税が大きく社会保障の充実には一定の国民合意が出来ています(東西ドイツの統合により貧富の差を直視した国民的合意形成)。
日本は終身雇用体系のもと、会社及び家族負担、特に女性負担による社会福祉実践により日本型資本主義社会を構築してきました。
しかし、グローバル化(東西冷戦後、平和と引き換えに共産圏の安価かつ有能な労働市場の受け入れ)の進展により、終身雇用制は維持できなくなり、戦前のような株主優先の資本主義体系(当時の日本は短期雇用中心だった)に回帰しつつあります。
戦前と同様、株主は銀行から資本家に移るのですが、問題は外資の比率が戦前より多くなることであります。 これが新株主が望む成果主義の推進→社員の精鋭化→リストラ→業務委託、派遣社員の増大→年収200〜300万円層の拡大→ローンの組めない人の増大→?、経済の縮小、貧富の差の拡大そして過去の歴史で云えば仮想敵国の設定、経済植民地の必要性、及び、紛争の軍事解決手段の保有、誇示との流れが伺えます。
他方、日本人の自己実現の場の一つである「楽しい会社」像が失われます【この項では割愛します】。
以上より、政策的にはまず、失業者の再雇用制度の充実、及びその障壁の撤廃。手始めに国家公務員の採用制度等の手直しを行い、終身雇用体系崩壊後の新しい「カムバック」できる雇用体系の模範構築を目指します。
何故、公務員制度の改革かと云うと、上場企業の職制や福利厚生は国家公務員を範としており、中小企業の職制や福利厚生は、上場企業のそれを範としているからであります。
例えば、終身雇用体制では不利であった女性労働者には、制度改革として子どもに手がかからなくなった後でも採用門戸を開く「ママさん採用」を実施する。そうすれば育児(少子化対策にもなる)しながら、通 信教育を受け、スキルアップをした後、採用試験に臨めます(また採用枠があるなら、結婚して、子ども産んで辞めてもいい。次があるから)。
次に年収の十分の1程度で株式が取得できるように指導します(郵政民営化の前に絶対行わなければならない事。そうしないと一部資本家と外資に根こそぎニッポンの会社を持っていかれます)。
中学校の教科書にある経済原則のように国民=家計が株主になる事を推進します。
同時に株主総会の民主化を進め「いいアイデア、世のため人のためになる着想」があれば何人も民主的に世の中の共有財産=インフラである会社経営に参画できる道筋を開きます(金になるアイデアを手放すわけない、アグラを掻いた経営陣が無能を暴露されるのを恐れ保身に走れば別 だが)。
そして、税制等国民負担の見直しです。人生陽の照るときばかりでなく、艱難辛苦の時も続きます。捲土重来のため、平素日頃の税金、社会保険料の国民負担を検討しなければなりません(堤元会長率いるコクドのように赤字決算にして巨大組織からは一円も徴税できず、他方、市民からは組織を通 してしっかり源泉されている事への怒りを直視しなければならない)。
具体的に云えば「年収が103万円越えると扶養から外れ、同130万円を越えると各種社会保険料の負担を負わされる」このしくみを抜本的に見直さなければなりません(引かれ物が多い正社員よりフリーターの方が有利→実に賢い経済的選択行動)。あまりにも103(130)のラインの上と下では社会負担の違いが大きすぎるのです。 また、前年度の年収により、翌年の市県民税、社会保険料を算出するのも頂けません。
なぜなら失業手当てで税金等の支払いに追われる実態があり「カムバックできる社会」の妨げになっているのです。 終身雇用を前提として生活設計を建ててきた多くの国民の生活及び資産が危機に瀕しています。
国民の「生命、身体、財産」を守ることが憲法の予定する国家の責務であり、銀行や会社を守るために政権があるわけではありません。
そして終身雇用が維持できないのだから、既得権の権益保持のためでなく、新しい経済体制の再構築のために官僚は機能しないといけません。
「終身雇用、右肩上がり社会」から「カムバックできる社会」に日本社会を再編成、再構築し「挑戦が可能な社会にして日本を面 白くしよう」と云う視点の中で、雇用対策を考えているのです(IT講習券や機会なのか結果 なのか判然としないフェアな社会と云うような安易な目先雇用政策とは全く異なります。
無論、国民皆終身雇用なんて排他一元的共産主義イデオロギーは持ち合わせていませんが)。

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